自己破産すると家族への影響はある?
「借金を返せなくて自己破産をしたい…」こう考えている方の中には、家族のことを気にして自己破産を躊躇っている方もいるかもしれません。
「自己破産をすると家族に悪影響があるのでは?」
「家族の生活や子供の就職などに影響がありそう…」
様々な不安の中でもやもやしながら、自己破産を先延ばしにしていませんか?
実際のところ、自己破産をすれば家族に何らかの影響が発生する可能性はあります。
では、具体的にどのような影響が考えられるのでしょうか?
正しい知識を得て対策をすれば、影響の出る範囲を限定的にできるかもしれません。
ここでは、自己破産が家族に及ぼす影響を説明します。
このコラムの目次
1.自己破産の効果
自己破産をすると、破産申立人の「一定以上の財産」が処分され、お金に換えられます。
そのお金は債権者への弁済に使われ、それでも残った借金については基本的に帳消しになります。
ここでいう「一定以上の財産」とは、破産申立人本人の財産に限られることになっています。
自己破産は世帯単位で行われるものではなく、個人単位で行われるからです。
しかし、建前上はそうであっても、事実上は家族に何らかの影響が及んでしまいます。
どのような影響があるのか、次の項目で説明していきます。
2.自己破産することで家族に与える影響
自己破産をすると、ケースによっては家族に様々な影響が出ることが考えられますが、ここでは代表的なものを紹介していきます。
(1) マイホームやマイカー
家や車には「名義」というものがあります。
基本的には名義人が持ち主と考えられるので、自己破産をしたときには、破産申立人の名義になっている財産が処分の対象となります。
このため、マイホームが破産申立人の名義になっている場合は、家が処分対象となってしまいますし、車が破産申立人の名義になっている場合も同様です。
家族みんなで引っ越しを余儀なくされたり、移動手段であった車が引き揚げられたりしてしまうことになります。
「自己破産で処分されないように、自己破産前で名義を変更すればいいのでは?」と考える人もいるかもしれませんが、それは自己破産のときにタブーな「財産隠し」だと裁判所が判断する可能性があります。
最悪の場合、借金が帳消しにならない可能性もあるので、うかつな名義変更は厳に謹んでください。
問題となるのが、家や車が配偶者などとの「共有名義」である場合です。
この場合は、共有名義人に、自己の持ち分を買い取ってもらうなどの対策を取ることができるでしょう。
また、車の場合は、親族などに残高を返済してもらう「第三者弁済」により、引き揚げを免れる可能性もあります。
具体的な対策や方法については弁護士に相談して、その指示に従うことを強くおすすめします。
(2) 家族が連帯保証人の場合
自己破産をすると、債権者は連帯保証人に借金返済の催促を行うようになります。
もし家族が連帯保証人だった場合、自己破産をすると家族に請求がいくことになるのです。
その家族も借金を支払えない場合は、やはり自己破産などの選択をしなければなりません。
結果として、連鎖的に家族が自己破産をする事態にもなりかねないのです。
(3) 自分名義のクレジットカードと家族カードが使えなくなる
自己破産をすると、破産をした人の名義のクレジットカードを使えなります。同時に、親カードが使えなくなった家族カードも失効してしまいます。
家族カードとは、カードの名義人だけでなく、名義人の家族も使えるクレジットカードです。
これまで、カードでの支払いを名義人に頼っていた場合や、家族カードを使っていた場合は、様々なところに影響が出る可能性があります。
(4) 保証人になれない
自己破産した人は他の人の保証人になることができなくなります。
このため、子供が奨学金の借入を行おうとしても、その子供の保証人になれないなどの不都合が生じます。
奨学金のときだけでなく、配偶者などが住宅ローンやマイカーローンの借入れを行うときの保証人にもなれません。
自分以外の誰かに保証人になってもらわなければいけないので、余計な手間がかかります。
(5) 一定期間就けない仕事がある
自己破産の手続中は、免責まで一定の職業に就けなくなります。
例えば弁護士、司法書士、公認会計士、税理士、行政書士、宅地建物取引士などの士業の仕事はできません。
士業以外では以下の仕事が該当します。
警備員・生命保険募集人・卸売業者・旅行業者 ・建設業者・廃棄物処理業者・貸金業者・質屋
これらはあくまで代表例なので、自分の仕事が該当するのかどうか、詳しいことは弁護士まで確認してください。
就業が禁止される期間は免責が確定しすべての手続き終了するまでで、長くても数ヶ月~半年程度です。ケースごとに異なるので、こちらもあわせて弁護士に聞いてみるといいでしょう。
その間は、他の部署に転属させてもらうか、休職をする必要があります。
しかし、該当しない職業の方にとっては心配無用です。
[参考記事]
自己破産手続による資格制限と復権について
(6) 一定以上の財産が処分される
もし、破産申立人に一定以上の財産がある場合は、それらが処分されて債権者への弁済に充てられます。
例えば、現金は99万円までしか持てませんし、銀行口座の預貯金についても20万円を超える部分が没収されます。
没収されるのは破産申立人の財産であっても、その財産に頼って家族が生活していた場合、迷惑をかけることになってしまいます。
[参考記事]
自由財産について|自己破産をしても手放さなくてよい財産
3.家族への悪影響が心配な方は弁護士へ相談を
自己破産すると、確かに家族に影響が出ますが、世間一般に思われているより意外と少ない影響で済むことも多いです。
しかし、少しでも家族に迷惑をかけたくないという人は、ぜひ弁護士に相談してください。
弁護士はそういった依頼者の意思を最大限に汲んで、「任意整理」「個人再生」といった手段を含めた、最も良い解決方法をアドバイスしてくれるでしょう。
「自分には自己破産しかない」と思い込むのは危険です。
弁護士に相談して、様々な解決方法の中からベストなものを検討してもらうことをお勧めします。
借金問題でお悩みの方は、泉総合法律事務所の弁護士にぜひ一度ご相談ください。
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